マクセルUD(マクセルユーディー、ULTRA DYNAMIC)はかつて日立マクセル(コンシューマー事業部、現・電響社 マクセル事業本部)が製造・販売したコンパクトカセット(≒カセットテープ)、およびオープンリールテープ、日立製作所がLo-DブランドでそのOEMとして販売していたコンパクトカセットの各種商標である。
本項では主にコンパクトカセットとしてのUDとして記述するが便宜上、以下の製品についても記述する。
1970年(昭和45年)6月にULTRA DYNAMIC(UD)の名で発売され、同社を代表するカセットテープ、およびオープンリールテープの各種シリーズ「UD」における初代の製品である。音楽専用として発売されたこのテープはTDKのSD[1]やソニーのHF(第1期)[2]などとともにオーディオテープの高性能化の幕開けとなった。1972年(昭和47年)と1978年(昭和53年)、1981年(昭和56年)にそれぞれ改良が実施され、その際に磁性体の特性も変化している。1978年9月の全面改良においてはピュア・クリスタル(PX)ガンマ酸化鉄を採用。これにより旧製品と比べ広域の出力が上がった。本製品以降、UDは同社の音楽録音専用コンパクトカセットテープのスタンダード(基準)という位置付けで製品展開されていくことになる。しかし、1990年代後半からオーディオ用記録メディアの主流がMDやDAT、CD-R/RWなどといった各種デジタルオーディオ系記録メディアに移行し、コンパクトカセットテープやオープンリールテープの需要が低迷したことを理由に、同社の音楽録音専用低廉系コンパクトカセットテープ『CD's』シリーズ(CD's 1・CD's 2[3])と共に2002年(平成14年)末まで[4]に同社のUDシリーズは生産・出荷終了、これと同時にUDの商標もシリーズ通算32年の歴史に幕を下ろす事となった。
1983年(昭和58年)9月に初代が発売された。THE MODSのCMソング「激しい雨が」で知られるこの製品は音楽録音専用ノーマルポジション用カセットテープの最下級グレード(発売当初)であり、先代となる4代目UD(1981年 - 1983年)の後継でもある。ハーフは黒で銀色のメッキ調のハーフラベルが貼られている。1988年(昭和63年)5月にハーフの意匠が大幅に変更され、「オーパルフェイスウインドゥ」と呼ばれるテープ残量確認用の窓がある。その後も改良を続けるが2000年(平成12年)の一部改良を最後に2001年(平成13年)7月に製造・出荷終了。同年8月に発売されたMUSIC GEAR1(MG1)が事実上の代替製品となった。なお、磁気テープ本体については1990年(平成2年)5月以降の製品において、UD1(UD I)用に最適化されたニュー・ノンポア・エピタキシャル磁性体の採用を経て、ブラックマグネタイトI磁性体が採用された。
1984年(昭和59年)2月に初代が発売された。発売開始当時のCMキャラクターにワム!を起用したことで知られる。この製品はハイポジション(クロムポジション)用カセットテープの最下級グレード(発売当初)であり、ハーフは黒で金色のメッキ調のハーフラベルが貼られている。上記のUD Iと同様に1988年5月にハーフの意匠が大幅に変更され、「オーパルフェイスウインドゥ」と呼ばれるテープ残量確認用の窓がある。その後も改良を続けるがこちらも2000年の一部改良を最後に2001年7月に製造・出荷終了。同年8月に発売されたMUSIC GEAR2(MG2)が事実上の代替製品となった。なお、磁気テープ本体については1990年5月以降の製品において、UD2(UD II)用に最適化されたニュー・クリア・エピタキシャル磁性体の採用を経て、ブラックマグネタイトII磁性体が採用された。
初代UDⅠの横展開製品であり、1985年(昭和60年)8月に発売された。ハーフは三角の窓のようなものが施されている。1986年(昭和61年)9月にUD I-Nに改称。磁気テープ本体の性能・音質自体は初代UD Iを若干上回っている。
初代UDⅠの横展開製品であり、1985年(昭和60年)8月に発売された。ハーフはオートリバース機での使用に特化された製品故、A面側とB面側のハーフの意匠が全く異なっていた。磁気テープ本体の性能・音質自体は初代UD Iと全く同じである。
初代UD IIの横展開製品であり、1985年8月に発売された。ハーフは先述のUD I-S同様、三角の窓のようなものが施されている。1986年9月にUD II-Nに改称。磁気テープ本体の性能・音質自体は初代UD IIを若干上回っている。
1989年(平成元年)3月から1990年6月まで発売されていた事実上の先代となるMETAL Capsule(メタル・カプセル)の後継として、1990年7月に発売された。磁性体には新開発のスピンテック・メタルアロイ磁性体が採用された。その後も改良を続けるが、1998年(平成10年)8月の一部改良を最後に2000年7月に生産・出荷終了を経て2003年(平成15年)末までに流通在庫が全て完売となった。