MSAS(エムサス、運輸多目的衛星用衛星航法補強システム、英: Michibiki-based Satellite Augmentation System[注釈 1])は日本の静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS)。地上の電子基準点で計測したGPSの測位誤差情報を基に、みちびき3号機を経由してGPSの誤差を補正する信号を航空機に提供する。GPS単独測位に比べて測位性能が向上した[1]。
2005年2月26日にMTSAT-1Rが、2006年2月18日にはMTSAT-2がそれぞれH-IIAロケットにより打ち上げられた。MSASはシステムの確認、および最適化のため様々な試験を重ね、2007年9月27日に試験信号から正式な信号への切換を行い、MSASの供用が開始された[2]。2016年末にMTSAT-1Rが運用を終了した[3]。運輸多目的衛星運用終了後のSBAS機能については、準天頂衛星システムの静止軌道衛星(みちびき3号機)から2020年4月より配信中[4]。
衛星 | NMEA / PRN番号 | 経度 | 状態 |
---|---|---|---|
MTSAT-1R | NMEA #42 / PRN #129 | 140°E | 終了 |
MTSAT-2 | NMEA #50 / PRN #137 | 145°E | 終了 |
QZS-3 | NMEA #50 / PRN #137 | 127°E | 運用中 |
地上局として、国内13箇所に設置されているSLAS監視局を使い、常陸太田にある主統制局(MCS)から衛星にデータを送っている。MCSのバックアップ局(TMC)が所沢にある。[5]
MSASは当初、En Route(航空路)~ NPA(Non-Precision Approach)(非精密進入)の対応のみだったが、2023年からLPV(Localizer performance with vertical guidance)の試行を始めている。[6]
今後打ち上げ予定のみちびき6号機・7号機を使用した3機体制や、ICAOで新たに規格化されたL5 SBASへの対応が計画されている。[5]
など。