Perlのロゴ | |
パラダイム | マルチパラダイムプログラミング |
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登場時期 | 1987年 |
開発者 | ラリー・ウォール、Perl財団 |
最新リリース | 5.40.0[1]/ 2024年6月9日[1] |
評価版リリース | 5.41.4[2] / 2024年9月20日[2] |
型付け | 動的型付け |
影響を受けた言語 | C++、C言語、sed、AWK、BASIC、LISP、Unixシェル |
影響を与えた言語 | JavaScript、PHP、Python、Ruby、PowerShell |
プラットフォーム | Linux、macOS、Microsoft Windows、Solaris、AIX、HP-UX |
ライセンス | Artistic License、GPL 1.0かそれ以降 |
ウェブサイト |
www |
Perl(パール)とは、ラリー・ウォールによって開発されたプログラミング言語である。実用性と多様性を重視しており、C言語やsed、awk、シェルスクリプトなど他のプログラミング言語の優れた機能を取り入れている。ウェブ・アプリケーション、システム管理、テキスト処理など、さまざまなプログラムの開発に広く利用されている。
言語処理系としてのperlはフリーソフトウェアである。Artistic LicenseおよびGPLのもとで配布されており、誰でもどちらかのライセンスを選択して利用することができる。UNIX、Windows、macOSやLinuxのようなUNIX互換OSなど多くのプラットフォーム上で動作する。
say 'Hello, world!' ;
Perlプログラムには、モジュールによって機能を付加することができる。たとえば、他のプログラムやネットワークとの通信、各種ファイル形式の取り扱い、数学的な計算など、数多くのモジュールが存在する。PerlにはCPANというモジュールを体系的に管理するインターネット上のシステムがある。インターネットに接続していれば、CPANにアクセスして、モジュールをインストールすることが可能である。
Perlには標準で利用できるモジュールが数多く存在する。一部を以下に挙げる。
バージョン | 公開日 | 内容 |
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1.0 | 1987年12月18日 |
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2.0 | 1988年6月05日 |
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3.0 | 1989年10月18日 |
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4.0 | 1991年3月21日 |
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5.0 | 1994年10月17日 |
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5.5.0 | 1998年7月22日 |
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5.6.0 | 2000年5月22日 |
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5.8.0 | 2002年7月18日 |
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5.10.0 | 2007年12月18日 | |
5.12.0 | 2010年4月13日 | |
5.14.0 | 2011年5月14日 |
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5.16.0 | 2012年5月20日 |
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5.18.0 | 2013年5月18日 |
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5.20.0 | 2014年5月27日 |
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5.22.0 | 2015年6月1日 |
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5.24.0 | 2016年5月9日 |
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5.26.0 | 2017年5月30日 |
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5.28.0 | 2018年6月22日 |
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5.30.0 | 2019年5月22日 |
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5.32.0 | 2020年6月20日 |
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5.34.0 | 2021年5月20日 |
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5.36.0 | 2022年5月28日 |
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5.38.0 | 2023年7月02日 |
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5.40.0 | 2024年6月9日 |
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ラリー・ウォールは敬虔なクリスチャンであったため、Perlは当初、新約聖書のマタイによる福音書13章46節の「高価な真珠」にちなんで、真珠を意味する「pearl」と名付けられた[3]。ラリーは肯定的な意味を持つ短い名前を選びたいと考えていて、彼によれば3文字および4文字の単語を辞書から探したが良いのが見つからなかったということである。また、彼は妻のグロリアにちなんで名前を付けることも考えたが、家族の会話でまぎらわしいために却下となった。
Perlの正式なリリースの前に、ラリーはすでに「PEARL」という名前のプログラミング言語が存在することに気づき、綴りを変更して「Perl」とした[3]。このようにPerlという名前は何らかの略語ではないが、あとからいくつかのバクロニムが考えられている。開発者ラリー自身によると、「practical extraction and report language」(実用的なデータ取得レポート作成言語)という意味を持ち、同時に 「pathologically eclectic rubbish lister」(病的折衷主義のガラクタ出力装置)[4]という少し皮肉な意味も込められている。
Perlという名称の記述においては、若干の注意が必要である。プログラミング言語としてのPerlを示すときは「Perl」というように、頭文字を大文字にして固有名詞であることをはっきりさせる。この「Perl」という表記では処理系のことは含まれない。Perl 5の現在開発されている唯一の処理系は「perl」という、すべて小文字で記述される名前の処理系である。一般に「perlだけがPerlを解釈することができる」という表現がなされる。「PERL」のようにすべてを大文字にするのは誤りである。
このようにPerl 5現在において、Perlとは言語の名前であると同時に唯一の処理系の名前でもある。この処理系はC言語で書かれている。スクリプトは実行前に仮想機械向けにコンパイルされ、コンパイルされたバイトコードが実行される(ランタイムコンパイル)。そのため、厳密にはインタプリタとは異なる。
Pythonのように一旦生成したバイトコードを保存して再利用することは少ないが、これは現在のPerlのランタイムコンパイルが高速で、バイトコードから実行するメリットがあまりないことが理由の一つである。コンパイル済みコードの再利用としてはむしろmod_perlのような形式が好まれている。
PAR (Perl Archive Toolkit) というPerlスクリプトを実行環境ごとアーカイブし、単一のファイルにまとめるためのツールキットも存在する。JARのPerl版と考えてよい。実行可能ファイルを作ることもできるため、アプリケーションの配布に適する。しかしその場合はPerl実行環境をまるごと含むため、ファイルサイズが大きくなる傾向にある。
Perlの姉妹言語としてRaku (旧 Perl 6) が存在する。RakuはParrotというバーチャルマシンの上で動作する。現在、ParrotCodeへのコンパイルを行うRakudo Starという処理系やHaskellで書かれたPugsという処理系などの複数の実装が公開されている。なおRakuはPerlと互換性を持たない。
Perlが利用されている代表的なWeb アプリケーションや管理ツール。