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Verax | |
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Verax | |
監督 | Jeff Floro, 李健恩, 謝兆龍, 崔正傑 |
脚本 | 李健恩, 崔正傑 |
製作 | Jeff Floro, 李健恩, 謝兆龍, 崔正傑 |
出演者 | アンドリュー・クロミーク(スノーデン役), Thomas Easterling, Gabe Ostley, Robert Hinson, Edwin Chin, Justin Lau, Cindy Wong, Simon Zeng Hao, Shi Yi Ng, Guo Aibing |
音楽 | Gareth Coker, Thomas Vo |
撮影 | Jeff Floro, 謝兆龍 |
編集 | 李健恩 |
製作会社 | J.Shot Videos, Fallout Media, Immortal Peach |
配給 | YouTube |
公開 |
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上映時間 | 5.5分 |
製作国 | 香港 |
言語 | 英語、広東語、標準中国語 |
製作費 | $5000(香港ドル) |
『Verax』とは、2013年に公開された香港におけるエドワード・スノーデンの機密情報告発に関する、5分強の短編映画である。香港のアマチュア映画制作会社が制作したもので、2013年6月にYouTubeに投稿された[1][2]。
映画の題名Veraxはスノーデンのコードネームに由来したもので[3]、ラテン語で「真実を語る者」と言う意味である[4][5]。 この作品はJ.Shot Videosグループにより製作され[6]、プロデューサーによると、史上初めて製作されたスノーデンに関する映画である[7]。
この映画は4つの場面からなる。最初は中央情報局(CIA)の局員がスノーデン事案について議論しているところを描いたもの[7]。2番目は、スノーデンと取材のやり取りをするジャーナリストを描いたもの[7]。3番目は、香港の警察官と中華人民共和国国家安全部の局員がエドワード・スノーデンを見つけるべく議論しているところ[3][7] 。4番目は、スノーデンが現れるのを待っている登場人物たち[7]、そしてスノーデンがメディアに姿を現す場面となっている[8]。映画の終わりには、スノーデンと『ガーディアン』のインタビューの抜粋が含まれている。最後のキャプションでは、6月23日にスノーデンが香港を出発したと述べられている[7]。
この映画は、スノーデンが滞在した香港のホテル、ザ・ミラ香港を特集している。フランス通信社(AFP)によると、ルービックキューブは「スノーデンが『ガーディアン』記者に自分を身分証明するために使っていたと伝えられる」アイテムとされ、この映画内でも特徴的に描かれている[1]。このプロジェクト映画製作者の1人である崔正傑は、この映画を「時間が間に合うようにしたスナップショット」だと述べている[3]。
『Screen Daily』 のアンドレアス・ワイズマンは、この展開が「大量の創造的ライセンス」を使うことになると書いた[9]。
この映画は、オーストラリア、カナダ、アイルランド、米国の国外居住者によって創られた。[1]映画の制作者はJeff Floro、Edwin Lee(李健恩)、Shawn Tse(謝兆龍)、Marcus Tsui(崔正傑)である[8]。アイルランド市民の李が[10]唯一のプロ映画制作者で、編集者と撮影監督を務めた[1]。李はマルチメディアとテレビ業界で報道記者を務め、サウスチャイナ・モーニング・ポストと亜洲電視で働いていた[8]。2013年7月11日、スノーデンが自分の正体を明かしてから2日後、李健恩は映画製作の可能性について友人と連絡を取った[10]。李と崔は映画の台本を創りあげ[8]、それは撮影の前日にやったことだった。俳優らは、自分達の(演技の)流れをリハーサルする時間がなかった[10]。
プロデューサーによると、この映画は香港への敬意を意図したものである[10]。李は、「なぜスノーデンが香港に来たのか非常に興味があった。私たち全員が香港を死ぬほど愛している。私たち全員が香港をホーム(我が家)だと呼んでいる」と語った[10]。映画制作者たちは、YouTubeのグループページで次のように語っている「ほぼ全てのメディア支局が彼を捕捉したいとするなか、私たちは香港での彼の体験と、それが特定の団体にどのような影響を及ぼすのかを描くべく、短編フィクションのビデオを制作することに決めました。その団体とは即ち、スノーデンを発見するよう任命を受けた香港を拠点とするCIA部隊。米国と中国の間で板挟みにされた香港警察、そしてスクープを手に入れたいジャーナリストたちです[6] 」。李は「スノーデンへの関心と香港への注目を引き付けるために」この映画が製作されたと語った[1]。オンタリオ州トロント生まれの28歳で、香港では教師として働いていたヨーク大学映画研究科の卒業生である謝によると[11]「我々は、(香港に)ふさわしいと思うだけの脚光を香港に与えようと試みた[10]」。このグループは当初、完全なコメディ、おちゃらけ、もしくはジェイソン・ボーン風のスリラーを考えていた。最終的には、現実に繰り広げられたかもしれない出来事の描写を自分たちは選択した、と謝は語った[3]。李は、ボーンの映画シリーズと監督のマイケル・マンの作品が自分に閃きを与えてくれた、と語った[10]。
スノーデンの存在に関して、映画制作者たちはスノーデンが 「中心的な登場人物だが、彼が最重要ではない。彼を取り巻いて起こる大騒動の出来事のほうがもっと重要である」と述べた[6]。これは、物語内で彼により重要な役割を与えるには、彼らがスノーデン自身について殆ど知らなかったためである[6]。李は、この映画はスノーデンよりも「ヴィネット[注釈 1] 」に焦点を当てており、スノーデンは他の登場人物に影響を及ぼすイベントの触媒としての務めを果たしている、と語った[10]。スノーデン自身は映画内で生の対話をしていない。この映画の焦点の半分は香港にあり、もう半分がスノーデンにある、と李は語った。[10]
政治的動機はない、と4人の映画制作者は主張した[13]。謝兆龍は「この映画は可能な限り中立にするつもりで、ある意味、我々が考えたスノーデンがやろうとしている事を基本的に侵害しないようにする、それが正しいのだと私たちは最初から知っていました、なぜなら私たちは本当に何も知らなかったからです。」と語った[14]。李はこの映画を「間に合わせのスナップショット」と表現し、「スノーデンが香港に突如現れたとき、彼は本当に人々が話題にするほどの非常に大きな注目を集めました。彼がどこにいて何を知っているのかというメディアの追跡を超えた、この状況についての別の見方を私たちは与えたいと思ったのです」と語った[8]。協力プロデューサーを務めたカサンドラ・チャンは、「米国政府はインターネットを濫用している、そこでインターネットの力をできれば善良な理由で使うことが我々の対応なのです。」と述べた[8]。
ウォール・ストリート・ジャーナルのディーン・ナポリターノは、この映画が「中国本土と香港との時折の緊張関係や「一国二制度」政策が微妙に観察される」として、「中国の中央政府の治安当局が香港の警察官に大声で命令する場面を強調して」書いた[3]。上述の場面では、本土の当局者が標準中国語を話し、香港の職員は広東語を話す[10] 。ナポリターノによると、この映画は中国当局が香港で実権を持っていることを含みにしている[3]。李はこのシーンが「(香港の)中国との関係を表現する手段である」と語り、それはCNNのアレクシス・ライによって「スノーデン事件における北京の役割の不透明さ」と言い換えられた[10]。この場面に関して、李は「中国が(背後で)何ら糸を引いていないと言うのは、世間知らずになるだろう...我々に自治を与えているとはいえ、それは常に北京の連絡指示でありその実行である」と述べた[10] 。中国本土政府からの公式の当局者は、自分たちは香港当局の決定に影響を与えなかったと語った[10]。
2013年7月1日までに、李健恩は、スノーデンが香港を去ったため続編を書くつもりはないと語った[10] 。同年7月29日までに、映画制作者は映画祭に自分達の映画を出展する計画があり、続編の制作を思案しているとした[15]。
この映画は、3日または4日間で撮影された[13][16]。撮影当時、スノーデンは香港にて雲隠れしていた[13]。映画制作の終わりまでに、スノーデンはロシアに逃亡した[1]。李健恩は、これが編集プロセスを急がせて、映画がより早く公開されるようになったが、プロジェクト自体は短縮されなかったと語った。AFP通信は、この映画が「スノーデンが目撃されたと報じられている香港の実際の場所に忠実だった」と記している[1]。幾つかの場面はザ・ミラホテルで撮影された[3]。別のシーンでは幾つかのオフィスが使われ、あるランジェリー会社が自社オフィスを映画制作者に使用させた[8]。
映画制作者の1人である李健恩は、この撮影スタイルが「沢山のアドレナリン...非常にゲリラの制作スタイルだった」と語った[1]。彼はまた「それは突貫作業の撮影だった」とも述べた[3]。李はこの撮影スタイルを「ドキュメンタリードラマの作り直し」と表現している[3]。ナポリターノは「殺風景な会議室での技術的な対話、タイムラプス撮影、そして都市の有名なスカイラインを横移動していく空中撮影など、ある意味でそれは現代香港の犯罪ドラマに似ている[3]」と述べた。『The Diplomat』誌のジョナサン・デ・ハートは、タイムラプス撮影風に撮った灰色雲、香港のパノラマ、そして「手ブレするカメラ」風の映像を使うのは、「スパイ」ジャンル映画の特徴だと述べた[17]。この映画は、Pond5から購入した2枚のストック映像写真を除き、オリジナル映像を使用していた[3]。
2013年6月28日時点で、映画制作者はまだ映画の総費用を決めておらず、彼らの予算見積もりは約5000香港ドル(641USドル、当時のレートで約6万2500円)だった[3]。AFP通信は、この予算では「靴紐(を買うのがやっとの僅かな金額)」[注釈 2]だと述べた[1]。『バラエティ 』誌のパトリック・フラッターは2013年6月1日に、総費用が4200 香港ドル(550USドル、同5万4000円)だったと述べた[8]。ベルファスト・テレグラフ紙のアダム・ウィズナルによると、予算は645USドルまたは420英ポンド(同6万3000円)だった[19]。ザ・ミラでの1泊滞在が予算内で最も高価なもので[8]、同予算の約3分の1を占めていた。映画制作者は自分たちの投資の利益を得るために映画を作ったのではないと述べ、日雇いとして金融業で働くJeff Floroは[15]、この映画でお金を失ったと語った[3]。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙のディーン・ナポリターノは、「この映画は『サタデー・ナイト・ライブ』風のパロディではないにしても、俳優ではない出演者や極小予算を考えると洗練されたスリラー作品と言うわけでもない」と書いた[3]。ロサンゼルス・タイムズ紙のレベッカ・キーガンは、『ソーシャルネットワーク』のサウンドトラックに自分がなぞらえた電子音楽のサウンドトラックの存在、「香港の超高層ビルを一望する景観」、ザ・ミラホテル内部の映像があるため、 『Verax』が「インスタント映画(短期間で制作した映画)としては非常に磨き込まれているように感じる」と述べた[13]。キーガンは「俳優の重苦しい伝達がたまに新参者の地位を明らかにしてしまう」と付け加えた[13]。「ロシアの声」は、「手ぶれするカメラワーク」と現地俳優の起用が「ボーンのスパイスリラーシリーズを想起させる」と述べた[7]。『バラエティ』誌のパトリック・フラッターは、この映画には「強い制作価値があり、どこかよりアマチュアっぽい動きの演技」があったと語った[8]。CNNのアレクシス・ライは、この映画が「都市パノラマの煌びやかなタイムラプス映像やハリウッドを思わせる「手ぶれカメラ」の映像があって、驚くほどサスペンスに満ちた洗練されたもの」であると述べた[10]。
出演者は映画製作者4人の友人で構成されていた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙のディーン・ナポリターノは、このキャストが「演者能力の程度はさまざまだ」と述べている[3]。チェスター(ニューヨーク州)出身の25歳のアメリカ人で英語教師だったアンドリュー・クロミーク(Andrew Cromeek)が、スノーデンの役を演じた。彼は以前、1つのコマーシャルと1つの学生映画で活動していた[20]。映画制作者は、スノーデンとの類似が「遠目で」見えると信じられる、自分達の友人を再検討した[1] 。謝兆龍は、誰がスノーデンを演じることが可能なのかを見るためにコーカソイド(白人)の友人全員を見た、と語った[3]。クロミークは、謝が教師勤務していた会社で働いていた[11]。謝はクロミークがスノーデンに「完璧になれる」と確信したが、一方でクロミークはスノーデンと「全く似ていない」と考えていた[21][20]。
謝によると、香港の理髪店にクロミークを連れて行く前に、彼のひげを数日間生やさせた[11]。クロミークはヘアスタイリストにスノーデンの写真を与え、50香港ドル(約625円)で散髪してもらった[20]。謝によると、香港のヘアスタイリストはクロミークにスノーデンと間違われることに注意するよう警告した[10]。クロミークは金のスプレー塗料を使って自分の髪の色を明るくし[11][20]、眼鏡をかけて自分のひげを整え[20]、そして撮影当日に、メーキャップをして首にほくろをつけた[11][20]。映画チームはまた、特別な衣裳を使ってクロミークをスノーデンのように仕立てた[3]。クロミークは、この映画が公開された後に両親、家族、友人が電話をかけてきたと報告した[20]。
役名 | 俳優 |
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エドワード・スノーデン | アンドリュー・クロミーク(Andrew Cromeek) |
CIA局長カール・ハミルトン | トーマス・イースリング(Thomas Easterling) |
CIA分析官 オーウェン・フィールディング | ゲーブ・オーストリィ(Gabe Ostley) |
CIA作戦行動管理官 | ロバート・ヒンソン(Robert Hinson) |
香港警務処(HKPF)保安部、曾德龍 | 錢尚文(Edwin Chin) |
HKPF保安部、李達志 | 劉彥德(Justin Lau) |
HKPF保安部、胡麗莎 | (中国名は不明、Cindy Wong) |
中華人民共和国国家安全部随行員、漢 衞 | 曾 昊(Simon Zeng Hao) |
サウスチャイナ・センチネル[注釈 3]の記者、劉麗斯 | 黄诗艺(Shi Yi Ng) |
サウスチャイナ・センチネルの編集者、胡星尉 | 郭愛兵(Guo Aibing) |
この映画は、2013年6月25日にYouTubeで公開された[1]。最初にウォール・ストリート・ジャーナルが、続いてAFP通信やロサンゼルス・タイムズなど、複数の出版企業がインタビューのためこの撮影グループに連絡を取った。そのインタビューが同映画に対する関心を大きくした[11]。6月28日までに視聴回数が5000回超になり[3]、6月30日までに8500回を超えた[1]。7月2日までに8万9000超の視聴回数になった[17]。7月16日までに22万回を超すヒットになった[11] 。7月30日までに視聴回数約25万回になった[19]。
オーストラリア政治ニュースのオンライン誌『Crikey』のルーク・バクマスターは、『Verax』の「最大の財産は物語効率のショーケースである。論理性(必ずしも感情的な反応を必要としない)を導くために言語と画像配置を使うことでキーポイントを取得し、ありていに言えばそれを行っている」と述べた[24]。中国中央電視台のJin Jiabao は、この映画の出来事は「鮮やかに描写されていた」と語った[4]。
AP通信のステファニー・イップは、当初この映画は人気を得たが、2013年7月29日までに「映画の賞賛は批判へと移ってしまい、多くの視聴者がアマチュア作業と悪いキャスティングのことで4人の制作者を非難している」と書いた[15]。アダム・ウィズナルはベルファスト・テレグラフ紙に「多くの人がアマチュア作業と悪いキャスティングについて4人の制作者を批判している」と書き[19]、インデペンデント紙には「より広範な全世界の視聴者は、専門性に劣る奇抜な手法にそれほど寛容ではない」と書いた[25]。テレビ番組『New Day』のキャストは「アンドリュー・クロミークと残りの出演者が彼らの本職でより良くなることを、我々は願っている」と述べた[26]。
批判に関してアンドリュー・クロミークは、映画制作者がYouTubeで大量の注目を集めることは期待しておらず、映画制作者はプロフェッショナルではないと反論した[15]。クロミークは「撮影された手法は非常に素敵だったと私は考えています。私たちは全員アマチュアの俳優です。私たちは全て1テイク(一発撮影)でやっていました。それはこんな風に、撮影するぞ、始め、OK、終了。だから素晴らしいのです。たとえ人々が「それは世界で最悪の行動だ」のようでも、それは完全にOKです。私にはそれで全く構わないのです」と語った[19]。『Verax』は「たとえその限界を自ら認めたとしても、それを作った友人にとっては誇りの源である」とイップは記事に残している[15]。